或いはこんなスクールライフ

旧約聖書には、ベヒーモスはその巨体に似合わず温厚で、全ての獣に慕われていたと記されている。

同じ王とはいえ、空の王ジズとは随分印象が違った。

「サユミとかいったな」

ベヒーモスが私に顔を近づける。

「陸の王たる俺がこのような事を言うのも何だか…天空宮市は、あらゆる種族が共存し、魔法と科学までもが混在する土地だ。その中にあって、魔物だけが蚊帳の外ではいかん…」

何と陸の王であるベヒーモスが、その大きな頭を深々と垂れた。

たかだか人間の小娘である私に。

「ガルルは魔物と他種族との友好の架け橋としたい…まず手始めに人間と…そう思って、俺はガルルが天空宮学園に連れていかれるのを黙認したのだ…」

頭を上げたベヒーモスは、今度ははっきりと、それとわかるように私に微笑んだ。

「不肖の息子を頼んだぞ、サユミ先生」