「あがって、美紅ちゃん

お茶でも飲んでく?」


「あ、ううん。えっと――」


説明するより先に、
おばちゃんはあたしが
持ってる参考書とかに気づいて、


「ああそっか、貢に
用事だったのね。

じゃあ後で部屋にジュース
持っていってあげる」


「イヤ、オレはまだ
教えるとは――」


「何言ってんの。

冷たいこと言ってないで、
助けてあげなさいよ。

美紅ちゃん、がんばってね」


おばちゃんはそう言うと、
タッパーを抱えて
ホクホク顔で奥に戻ってった。



――袖の下、めちゃくちゃ
効いちゃったな。


持つべきものは料理上手のママ☆