ビタースウィート・レッスン 〜聖夜に特別レッスンを〜

イキナリ言い出したあたしに、
貢にぃは当然ながら、怪訝な顔
して首をひねった。


「焼いてって――まさか今から
焼けって言うのか?」


「ウン。

だってホラ、キッチンあるし」


「バカか

そりゃあ厨房はあるが、今から
やってたら真夜中に―――」


「だいじょーぶだよ。

きっとそんな、時間かかんない」


「は? なんで美紅にそんな
ことがわかる?」



困った駄々っ子を見るような、
貢にぃのまなざし。


あたしはその瞳を、精いっぱい
まっすぐ見つめ返した。


「あたしに、リクエストがある
から。

それだったらきっと、あんま時間
かかんない……」