ざぁぁ……っと木々を 揺らした強い風が、 あたしの頬もかすめていった。 その風でハッと回想から 覚めて、あたしはプル プルと小さく頭を振る。 ――トクン、トクン。 体はまだ、ほてったように熱い。 自分の鼓動に耳を傾け ながら目を閉じると――、 真っ暗な心の スクリーンに、すぐに 貢にぃの姿が映った。 「貢にぃ―――」 _