ビタースウィート・レッスン 〜聖夜に特別レッスンを〜

そう………、

あたしはその、貢にぃが
焼いてくれる甘ぁいホット
ケーキが大好きで。


悔しくて恥ずかしくて、
電気もつけずに泣き
続けてたあのときも。

貢にぃが部屋に入って
くると同時に、甘い匂いが
漂ってきて――それだけで
実はもう心はワクワクして
たんだけど。



『ホラ、美紅。

今日のは特別だ。

ビリでも最後までちゃんと
走ったお前に、ご褒美をやる』



だからもう泣くな。


そう言って、貢にぃが
パチッて部屋の電気を
つけたとき、あたしの
目の前にあったのは。


生クリームとイチゴで
飾られた、とっておきの
ホットケーキで――

もうそれは、あたしの涙を
一瞬で吹き飛ばした。