俺は自分の部屋に入ってすぐに机に向かい、机の上の写真を手にとって眺める。
大切な、大切な彼女と撮った写真を眺める。
こいつが生きていれば俺は変わってたかもしれない。
いま頃、弁護士か検事になるために猛勉強してたかもしれない。
「夏美…かえってきてくれよ」
涙が溢れる。
わかってる、俺の心は闇に閉ざされたままだ。
夏美以外の女と付き合わないと夏美に約束した。俺はいまもその約束を守り続けている。
俺の中で夏美はすべてだったから。大好きだったから―――。
夏美を、俺の大切な人を殺したのに、死刑にならない今の死刑制度―――――。
夏美、なんで――――おまえだったんだよ。


