尽きない言葉


この嬉しすぎる状況で、昨日までの俺には無い感情が生まれた。

“抱きしめたい………”


今までは見るだけで満足だった。
同じクラスである喜びを毎日のように噛み締めていた。

そんな遠い、届かない所に居た愛しい人が今、俺の隣を歩いてる。

触れたい。
とても、触れたい。


「真瀬君って
 あんまり喋らない人なの?」


突然の問い掛けに、俺は肩を少しびくつかせた。

…なに考えてたんだよ、俺は。

欲求丸出しの自分が恥ずかしくなる。


「そういえばクラスの女の子…
 ってか、女の子全体的に
 話してるの見たことないなぁ」


「女子って群れてるからさ。
 話しかけんの、困難」


「困難って……」


そう言って楽しそうにくすくす笑う。


いや、ぶっちゃけキミ以外どーでもよくて。
キミしか俺の目には映らない。

なんてくさい台詞を心の中で言ってみて、改めて自分がどれだけ彼女に溺れてるかを実感する。