「お疲れ様でしたっ!
また明日、学校でね」
そう言って手を振る柊を、自分でも笑っちゃうくらい慌てて呼び止めた。
「あー……、危ないって。
8時過ぎてるし」
「平気。家近いし
いつも一人で帰ってるから」
「や、俺が一緒に帰りたい……
っつーか…とにかく危ないし」
突拍子もない言葉を口にしてしまった俺は、言葉を濁した。
柊はそんなの気にしてないみたいに、あの柔らかい笑顔を浮かべながら
「じゃあ送ってもらおうかなぁ」
ってかわいらしい声で言った。
それだけで、俺は彼女に聞こえるんじゃないかってくらいに心臓が五月蝿く鳴っていた。
夢みたいだ。
いや、寧ろ夢なのかも。
それならずっと覚めないで…
「ごめんね、反対方向なのに」
「いいって。
俺が言い出したことだし」
柊と並んで歩いてることがまだ信じられずに、思わず俺の右側を歩く彼女に視線をずらした。
なんかもう、幸せすぎるんですけど。
