尽きない言葉


柊って普段ふわふわしてるっていうか、危なっかしいっていうか…
とにかく、バイトは仕事をちゃんとこなしてて、まるで別人みたいだ。


なんてことをカップ麺を運びながら考えてたお陰で、さっきモップをかけた床で転んでカップ麺をぶちまかした。

店には誰も客がいなかったのが幸いだけど、やっぱり柊に目撃されてて。


こんなことなら知らない奴ら大勢に見られた方がマシだとさえ思った。

まったく……
バイトじゃ柊より俺の方が危なっかしいじゃん。



とりあえずカップ麺をぶちまかした意外は何も失敗せず、その後の時間は柊と同じ空間に居られる幸せに浸っていた。


こんなに長い間近くに居られるなんて、教室じゃ有り得ないこと。

私服の柊を見るのだって、今思えば初めてだった。


目が、柊を追ってしまう。


しばらくして交代するらしい大学生が来て、俺と柊は同時にバイトを上がった。