尽きない言葉


関わってるんだよ、柊。

今、一番注目されてる真瀬と柊会社。

その跡継ぎになるかもしれない息子と、大事にされてる娘が関わりを持ってるなんて、マスコミの食いつくネタだ。


「よっし!今日も頑張ろうね」


「あぁ」


鼻歌混じりに小走りでレジへ出る柊の後ろ姿を見つめながら、気持ちを切り替えようと大きく深呼吸した。



わかってる。

柊を好きになることも、側に居ることさえいけないことも。

離れなきゃいけないってことも。


でも、柊はこのことを軽く考えてる。
それをいいことに、この短時間で俺の考えも変わっていた。


柊を好きなことは、しかたないこと。
側に居たいと思うのも、しかたのないこと。



甘えてた。


この先そんなこと通用しないって気付くのが遅すぎた。



俺も柊もまだまだ子供で、“ライバル会社の息子と娘”の意味を、理解してなかったんだ。


俺達が今してること全てが間違ってることに気付けたのは、完全に離れてしまった後。


絶対に会えなくなった後だった。