尽きない言葉


恥ずかしいとかじゃなく、この事実を伝えたらこうして柊に触れることも、話すことも、近付くことさえ出来なくなるかもしれない。

拒絶されて終わりかもしれない。

想いを伝えることもできないかもしれない。


沢山の不安が渦巻くなか、上手い言葉が見つからなくてただ口をぱくつかせていた。


「真瀬君?」


柊の為にも、俺の為にもこのことを言うんだ。


「俺の親父、真瀬 隆成。
 柊んとことライバルの……
 あの会社の社長」


要点だけを言葉を詰まらせながらも伝えた。


「やっぱりかぁ」


柊の言葉に、俺は思わず大きな声をあげていた。


「知ってたの!?」


「いや……
 確信はしてなかったけど
 苗字聞いた時に、そうかな?
 って思った」


さっきまでの不安と一緒に、体の力も抜けていく様だった。