出て来たのは、ミートソースのスパゲッティ。
これまた俺の好物。
康太はスパゲッティといえば、和風らしい。
でも8:2くらいの割合で康太はミートソースのを作る。
「和風にしてよかったのに」
思わずそんな言葉を漏らせば、すかさず康太のフォローが入る。
「俺はとも兄に喜んでもらえれば
それでいーのっ」
何回言えばわかるんだ、と言わんばかりにやや投げやりに言う。
全く、よく出来た弟だよ。
「今日も親父、遅いの?」
「多分ね。今日は父さんから
電話なかったけど」
「ライバル会社がどーとか
週刊誌に載ったって
この間ぼやいてた」
「またか」
俺らの親父、真瀬 隆成(マセ タカナリ)が率いる会社には永年のライバルがいるらしい。
名前は確か………たし、か…
平山だか宮城だか…
まぁ、そんな感じの名前の社長さん率いる会社。
あまり会社に興味が無いため、率先して聞く訳じゃないんだけど親父はよく独り言でぼやいてるから嫌でも情報が入ってくる。
