尽きない言葉


だけど、手を振る柊はいつもの笑顔で俺は益々意味がわからなくなった。


「ただいまぁー」


モヤモヤした気持ちを抱えて家に帰ると、部屋から康太が
「おかえり」
って顔を出した。


「……なんで上着てないの?」


「俺も今帰ったからさ。
 晩御飯、とも兄何食べたい?」


考えながらふと、康太に視線をやれば、首元に小さな赤い点がひとつ。


「彼女?」


「えっ…あ!これ!?」


慌ててそれを隠す康太。


「違っ!してないからね!?
 あの、無理矢理
 つけられたってゆーか」


「今の中学3年の女子は
 随分積極的なんだねー」


「とも兄信じてないし!」


よく見たことがある康太のキスマーク。

まぁ、あれだ。
行為が悪いとは言わないけど、早過ぎるっていうか。
悔しいっていうか。


「麺類食べたい」


「話し逸らすなよー」