こんな柊、前まで知らなかった。
教室で見る柊はとにかく笑顔が可愛くて、それからちょっと……
いや、かなりドジ。
だけどバイトで一緒に居る時間が増えて、意外にしっかり者なとことか、学校とは違う笑顔があることを知った。
柊に前より近付けた気がして嬉しかった。
「家、着いちゃうね」
柊の思わぬ一言が、俺の心を大きく揺さ振る。
そんな寂しそうな顔反則だって。
動揺がばれない様に、敢えて触れずに話題を変えた。
「そーいえばさ、柊ん家
すげぇ立派な家だよなぁ」
これは前々から思ってたこと。
俺の知る限りじゃ、お嬢様って感じでもないのに…な。
「あぁー……。うん。
この辺じゃ珍しいかもね」
言葉を濁す柊。
何と無く、聞いちゃいけない事だったのかもって後悔した。
「今日も送ってくれてありがと！
それじゃ、ばいばい」
「あぁ。またな」
