素直に礼を言ってみればこれだ。
まったく……
これだから篠塚と一緒だと退屈しない。
素の自分でいられる数少ない人。
「ま、お前なら上手くやれるさ」
篠塚は俺の家のことを大体知ってる。
幼なじみとか、友達歴長いとかじゃないけど、俺が話したくて話した。
そんな、不思議な関係。
言葉遣いは俺が出会ってきた人の中で、一番悪いけど。
お陰で俺も近頃口が悪くなったけど。
やっぱいい奴なのは変わらない事実なんだ。
柊に会ったことと、バイトが有るってことで午前に比べて有り得ない程やる気が出た俺は、午後の授業をぐっすり眠る篠塚の横で真面目に受けた。
「篠塚。起きろ」
言葉だけでは唸るだけで起きそうもないから、ワックスで整えた自慢の髪をぐちゃぐちゃにしてやった。
「…っにすんだよ」
「とっくに授業
終わってんだけど」
別に放課後もずっと寝ててもいいんだけどさ。
その方が面白いし。
