尽きない言葉


昨日、心臓が五月蝿く鳴りっぱなしだった原因の、あの声。

嬉しいけど、なんてタイミングの悪さ。


「柊、さん」


「あははっ!なんでさん付け?」


「いや、なんか…」


あぁ、また篠塚に弄られるネタが出来てしまった。


「バイトの時間
 また一緒みたいだね」


「そう…だったかも」


「今日もよろしくね。
 じゃあ、放課後に」


「あぁ。またな」


眩しすぎる笑顔を見送って、恐る恐る篠塚に視線を移す。


「バイトが楽しい訳だわ」


これでしばらくは弄られること確定。


「どこで働いてんの?
 遊びに行ってあげるよ」


「……っいらない!」


俺はそれだけ言って、空いた皿を片付けに立った。

それに続いて篠塚も席を立つ。


「真瀬君っ」


「キモいわ、あほ」


「や、真面目な話し。
 親父さんにばれんなよ?
 それが心配」


「前言撤回。ありがと」


「なにキャラだよ、それ」