尽きない言葉


「……美景のMはドMのM」


俺の冗談に、篠塚は光の速さで俺の頭にげんこつを一発。

ごっっっ


「いでっ」


これ、絶対タンコブできる。


「真瀬くぅーん?」


明らかに怒りを含んだ担任兼数学担当の石堂(イシドウ)の声が上から降ってくる。


「…………え?」


「朝からよくおやすみで。
 1時間めが始まって
 25分経ちますけど?」


昨日のバイトと康太の相手で疲れたのと、篠塚にもらったげんこつにふて腐れたので、いつの間にか完全に眠りについてた俺。


「先生の授業
 そんなつまんないかなぁ?」


「落ち込まないでよ。
 俺が悪いみたいじゃん」


「「お前が悪いよ」」


石堂と篠塚の声が見事にハモり、クラスに笑いが起こる。


あぁ、もう、勘弁してくれ……