「そーいえばさ
なんでバイト始めたの?」
来た。
この質問が康太の口から出ることを予想してた俺は用意しておいた言葉をそのまま言った。
「働くこと、親父が駄目
って言うから…
反抗したくなるじゃん?」
「あははっ!とも兄らしいね」
ごめん、康太。
でもお前には内緒なんだ。
どうしても、プレゼントしたいものがあるんだ。
「「いただきまーすっ」」
見事にハモる声。
康太はいつも反応を気にしてか、じっと俺を見てるんだ。
「んっ。今日も美味いよ」
「よかったぁー…。
将来いい嫁になるよ、俺!」
冗談と思えないほど真剣な康太に俺は軽く笑った。
「康太は料理よりも勉強」
明らかに顔を歪めた康太が
「だってー」
なんて言い訳する。
