葛藤に打ち勝った私は、素直な気持ちを、母さんに打ち明けることにした。




母さんの車に近づいてみる。
母さんが、運転席に座っていた。




私の顔を見るなり、優しく笑った母さん。
その笑顔を見たとき、私のモヤが1つとれた気がした。



「おかえりなさい」


母さんは、優しい口調で言う。




正しくは、車窓をまたがってだから、口の動きでわかる。




私は、軽く頷いた。
このときの私は、また笑うことができなかった。




母さんの車に乗り込んだとき、母さんが話しかけてきた。




「えりな…無理してない?」

優しく言う母さん。




「えっ?」




私は、不思議そうに言う。




「最近、笑い方もぎこちないのよ?何があったの…??」


母さんは、不安そうに聞いてくる。




母さんのこの言葉で、私が今まで我慢していた涙が一気に溢れ出した。




「いいのよ…えりな。泣きたいときは、思う存分…泣きなさい」


母さんは、私の頭を撫でる。



そのあと、車は発進する。
私は、母さんの車の中で泣き続けた。