「あれ、お前、いっつもパーカ着てんな。」

「え、あ、まぁ。フードかぶってると落ち着いて。」

これが私と月の初会話。
この時一目ぼれしたわけじゃない。

だって、別に月はそれほどのイケメンじゃない、と思う。

「何言ってんの!!月は結構モテるんだから!!知らないでしょ。しかも、イケメンの部類には十分入れるレベルだし。」

『思う』をつけたのは、以前、夏澄にこう言われたことがあったから。
…確かに月はモテないわけじゃない。
下駄箱に手紙が入っていたのも見たことはある。
バスケ部だしね。

でも…私が好きになった理由はそんなんじゃない。
ただ、一緒にいて、楽しいし、和むんだ。
中学校に入学して一年半、やっと好きだって自覚した。