「真正面から、客席から。ね?」


あの仔犬のような無垢な笑顔を向けられて、言葉が出なくなってしまった。


「そーそ。真正面から見た方が、俺らの魅力わかりやすいし」

「ステージ上の僕たち、結構かっこいいんだよ?崎さん絶対惚れちゃうって」


「"CHAMPのマネージャーやってて良かった"って心の底から思うくらい、虜にさせてやるよ」


笑顔でそう言い放つ桜庭明翔は、中学生とは思えないほどのかっこよさだった。




「そうね。あんたもマネージャーやるなら、この子たちの実力くらい知っとかなきゃいけないし。客観的に見た方がいいわ。
客席に降りなさい」


社長にまで言われて、ご察しの通り逆らえない僕はおとなしく客席へ向かった。