迷姫−戦国時代

木々を抜け漸く美羽達は山を下りた

木から飛び降りた宮火は美羽の横に付き馬に合わせて駆けていた
「後すぐそこだ。
此処で確認しておきたいのだが、この先からは名は以前同様に由利と名乗ってもらう。念には念になので」

「分かりました」

「この先からはこう急いでいては周囲から逆に怪しまれるだろう。馬の歩調を緩めてはどうか」

美羽は「そうですね」と返事をし手綱を引き馬の歩調を緩めた

「宮火、今の貴方の姿だとばれてしまいます。替えたらどうでしょう」

宮火の姿はどう見ても忍の姿、これでは怪しまれてしまう

「はい」と言い宮火は一旦居なくなり再び現れた時は袴姿であった

宮火の服装は弁柄色(べんがら)の袴を合わせ着物は萌黄色(もえぎ)を合わせた姿、もともと端整であるが袴姿はより一層良く見える

そう考えてたら急に宮火は手綱を引くので私はバランスを崩し馬に掴まった

「み、宮火、危ないではない。一声、声を掛けてもらわなければ困ります」

宮火は前を向いた間々淡々と続けた
「俺は何度も掛けてたが返事は無かった。逆方向に行くから誘導したまでだが・・・」


これは確かに彼に非はなく私が悪い・・・これには彼に頭が上がりそうになく、大人しく馬に掴まった間々の状態で彼をじとりと見つめた









「あそこだ」
一言呟き私も前を向いた







そこには小さな納屋があった