迷姫−戦国時代




朝日が登るとともに美羽は目を覚ました



カツン

何かが落ちる音がしてその方向を見ると黒、赤、白の三色の艶やかに輝く美しい扇が置いてあった

その扇はまるで持っていけとばかり言ってるように置いてあり美羽はそれを手に持った

「ありがとうございます」
頭を深く下げて一言残し美羽は神殿を出た



春の暖かい風が美羽を包む
「宮火、居ますか?」


「はい」
昨日と変わらずに現れた宮火に少しばかり安心する

「もう、心当たりは無いですか?」

「はい、父上の件はもう終わった。出で立ちするのか」

「ええ・・・。それよりも宮火、浅波はどうなったのです。彼は兄様と共に居ましたがやはり彼も・・・」

「心配いらない、長とは山を下りてすぐの所で待ち合う様にと言われている」

宮火の言葉に安心し彼が引いている馬に数回撫でてからひらりと跨がる


そして顔をばれないように隠し一息つき手綱を強く握りしめた

「では行きましょう」



その言葉を最期に美羽達は神宮を後にした