美羽を後ろに馬を走らせた宮火は美羽に手綱を握らせ己は降り馬にピタリと寄り添いながら走っていた


二人は東へと進んでいた


「宮火、千紫を出るにはあとどれくらい掛かりますか?」

「敵に見つからねば日が暮れぬ内には出れる。だが見つかれば・・・」

すると宮火の頭上に一羽の鳥が現れた

宮火は黙って鳥を腕に止まらせ足に結び付けられている紙を取出し見た


「美羽様、この先敵兵が待伏せをしている御用。引き返し別の道を行きましょう」

「はい。分かりまし・・・」

美羽が返事を返そうとした刹那・・






周り全ての木々が見たこともない美しい桜花が咲いたのであった

美羽は立ち止まり当たりを見回した

「桜花が何故此処に。これは、兄様・・・?」

花びらを掌に乗った瞬間に花びらはゆっくりと消えたのであった


「・・・っ!」


涙を必死に堪えている美羽を見て訳の分からない宮火はどう声を掛けて良いのか分からずただじっと美羽を見つめた




「敵兵は千紫全体の道を知っている同然。今からだと敵に見つかってしまいます。宮火、南側の神宮に向かいます。あそこなら一時は凌げると思います、行きましょう」




そう言い終わると同時に馬の向きを変え美羽は進み宮火も走り出した