迷姫−戦国時代

秋影は城から出て朱の中に際立って朱の装飾を着た五十代に見られる切れ長の朱い瞳に白髪の強い威圧を放っている男が秋影の姿を確認するや否やニヤリと笑った



二人の間に冷たい風が流れた

「久しいのぅ
千紫の若き当主よ」

「お久しぶりですね楠木殿。貴方とは十五年ぶりでしょうか」

楠木はフッと笑い腰にある刀を抜き出した
「昔の事など記憶がない」

「・・・貴方が無くても、僕にはあります。何故貴方は僕等の大切な者達を奪うのですか。何故ですかお・・・「黙らぬか!−−お前は「楠木覚悟!」
刹那、浅波が楠木に斬りかかろうとしていた

「下がれ浅波!」
すんでの所で浅波は攻撃を止め後退し秋影の元へと振り向いた

「何故止めるのです。この男は・・・!」

「これは僕等の一対一の戦いだ。君が入る戦いでは無い、これは文により承諾済みだ。理由は分かるがそれが約束なのだ。分かったな」

「・・・分かりました」
浅波は刀を納め後ろへと下がった

下がったのを確認し秋影は刀を抜き構えた

「(時間は稼いだ。無事に逃げて延びてくれ美羽・・・!)千紫当主桜美 秋影、此処に参る!いざ覚悟!」

「ふん、儂は浬張当主の楠木 重綱だ。かかって来い桜美!」

その言葉を合図に二人は駆け激しく互いの刃を打ち付けた