迷姫−戦国時代

城が騒がしい事にふと目を覚ました美羽は起き上がり部屋を後にした



女中達の動きが激しい部屋に目が止まりその部屋へと向かった

部屋を覗くと兄秋影と宮火、その他重症の兵士が手当をされていた

「―――御兄様、宮火!」

美羽の声に二人は振り向き暗い顔をしていた

「城を護ってくれてご苦労様。今僕等は体制を立て直す為一旦退くことにし万全の状態で浬張兵を討事にしたんだ」

「そうですか。・・・まだ戦は終わって無いのですね」

暗い表情をした後とある事に気付いきそれを尋ね様としたのだが目の前に男が現れた

「浅波、只今帰りました」

装飾には相手の返り血だと思われる血が沢山付いていた

「浅波、ご苦労であった」

「はい」

「あの、浅波。一つ聞いてもいいかしら・・・」

「どうぞ美羽様」

ニコリと微笑んでこちらを向く浅波に美羽は戸惑いながら聞いた


「御父様はどうなったのですか?」

美羽以外の三人は目を見開いた
それに美羽の質問は“何処にいる”のではなく“どうなった”であったからだ


「武則様は、戦の中、御亡くなり致しました」


ただ簡潔に吐いた言葉にポロリ、ポロリと涙を流し崩れ落ちた




「御父様が、そんな嘘よ・・・嘘よ・・・!」


崩れ落ちた美羽の横に座り秋影は優しく抱きしめた



「僕も辛い。父上はとても立派な方であった、それは忘れてはいけないよ。浅波も辛かっただろう」

「自分が居ながらすみませんでした。武則殿は・・・最後まで立派な方でありました」

「そうか・・・。して、そなたは今まで何処に居たんだい?」

「はい、自分は武則殿の死に際の頼みをしてきました」

「そうか、その頼みとは何だったんだい?」



「奥方様と共に眠りたいとの願いをです」

目を伏せ泣き止んだ美羽の頭を撫でゆっくりと微笑み

「そうか、父上は母上と共に眠りたかったのか・・・。父上も幸せだろう。ありがとう 浅波」

「浅波は何も悪くありませんよ」




二人の暖かい言葉に浅波は深く頭を下げ声に出さずに泣いた













貴方は悪くないのです。その事を私達はちゃんと知ってますよ