迷姫−戦国時代

千紫と浬張との激しい合戦を繰り広げていた


「く、流石天下に最も近い男が率いた兵だけはある」

秋影は敵の攻撃を受け止めた刀を回転させそこに空きが出来るのを見逃さずに攻撃を繰り出し目の前の敵を倒した

だがこの勝敗は一目瞭然であった。己が装備している物の色と同じ兵は残り僅かになり直に朱で埋め尽くされるだろう

「秋影様、此処は我々が止めます、一旦お引き取り下さい!!」
一人の傷だらけの兵士は秋影に叫んだ
「僕にはそれは出来ない!」

「お逃げ下さい!」

秋影は首を横に振りながら
「違う、違うんだ!僕はそなた達の死を無駄にしたくないために此処に残るのだ!」

冷静さを失いそう強く吐いた秋影の腕を誰かが強く掴んだ

「・・・宮火」

「秋影様、それは矛盾しております。戦で死んでいった者達は貴方様の為、国の為に命をかけ、戦っているのです。その者達を裏切る様な真似は当主である方としてどうなのですか」
宮火の強く吐いた言葉に秋影は目を見開き冷静さを取り戻した

「そうだな、・・・ありがとう宮火」
秋影は宮火と顔を見合わせ頷いた

「皆の者、一旦退くぞ!」
その一声の後、最後の戦いの為、二人は城へと駆け出した