静まり返る部屋の中、秋影は父武則から美羽へと見つめた

「僕は美羽にこの戦に参加してほしくないのだ」

膝に置いてある手を強く握り締め秋影を見据えた
「それは、どちらなのですか?」

「・・・兄としてだよ。
本当はこの戦は合ってはならないんだ」

「御兄様、合ってはならないとは何ですか」

「それは・・・・言えない。まだ時期では無いんだ」

美羽は武則へと顔を向け答えを問うたが武則は黙ったままだった

「分かりました。私はその時期を待ちます。ですが私は御父様の娘、御兄様の妹として、家族としてこの戦に参加いたします。私だけ除け者など嫌なのです」

「美羽・・・」
二人のやり取りを見ていた武則は漸く話し掛けた

「秋影、美羽に一本取られたの。そういう訳じゃ秋影、分かったのじゃな?」

「・・・はい」
頭首は秋影だとしてもやはり父親として言葉に重みがある

「美羽、その言葉に偽りはないな」

「偽りなどありません。私は姫として、千紫の民としてこの戦に参加いたします」







秋影は髪をかきあげながら息を吐きそして話し始めた

「美羽は変わらないな。
僕の負けだ。美羽には戦の中、城の者達への指示を任せる。分からない事があればキヨに聞けば良いだろう」

「御兄様ありがとうございます!!」
深く頭を下げ心からお礼をした

下げている時に頭に温もりがあり上げて見ると武則が頭を撫でていた

「よくぞ申した。御主は桜美家の誇りじゃ。良い女に育ったな、御主の母親にそっくりじゃ」


「ありがとう、ございます」
そう答えた美羽の頬は少し紅くなっていた