美羽は秋影と武則の間に座り今の状態を確かめた

「御兄様、敵はどのように此処を攻めてくるのですか」

「北西から一直線に進み速ければ四日ばかりで着くだろ。今の段階ではまず兵の配置だ」

「では民はどうするのでしょうか?」

「民は反対側の国境近くに避難させようと考えてるよ」

「ありがとうございます。ですが少し疑問で城の裏側から攻められた時の策は考えておりますか?」

「城の裏とは山のことじゃな?」

「はいそうです」
父武則が会話に参加し美羽は目の前に出されている地図に指を指し話しを続けた

「この山の断片は急斜面ではありますが実はその中にもきちんと緩やかな斜面も続いており、越える事は容易なのです」

「だがの、他国や民などもその様な事は知るはずもない。なぜならあの山に入る事は昔から禁じられておるからじゃ。それ故に地理を知らぬ者にあの山は越えられる筈がないのじゃ」

「ですがその場合ももしかしたらあるかもしれません。忘れないでください・・・」
私は十年間あの山に住んで居ましたので山については御父様方よりも詳しいのです。あの山は我が国の防衛にもなりますが逆に我が国を脅かす凶器にもなるのです。だから忘れないでください





その後全てにおいて事が決まり家臣達はそれぞれ出て行き部屋に残ったのは父武則と兄秋影と美羽であった

「美羽、何故このような時に帰って参ったのじゃ。理由があるだろう、申せよ」


二人の視線が美羽へと向かれた


「私は、桜美家の娘です。帰る時が来たのです」

「だが何故よりにもよって今なのじゃ?」

「私は今まで御父様と御兄様、沢山の方々に護られてきました。私はもう護られるばかりでは嫌なのです。今度は私が皆様を護りたいのです。護られるばかりの姫など嫌なのです」

「美羽・・・御主その様な事を思っておったのか。秋影、御主はどう考えるのじゃ」

「父上、僕は反対であります」