漸く城に着いた宮火は武則の寝間へ向かった


武則の部屋に明かりがありまだ起きている様子だと分かった宮火は部屋の襖の前に立つ

「武則様・・・宮火でございます。この様な時間に申し訳ないですが緊急事態でございます」

「フム、入られよ」

言われた通り中に入り寝間着の姿でいる武則の前に膝を付いた

「緊急事態とは何ようぞ」

「北西より浬張から兵二万を引き連れ此処千紫にて向かって来る様です。その中に楠木本人と見られる人物も確認されました」

武則は目を見開き驚愕した様子である。だがその姿に宮火は少しばかり違和感を感じた

「(楠木あやつやはり・・・)今すぐ家臣を集め会議をする。その事を浅波にも知らせよ。此処に攻めるまで何日あるのじゃ宮火」

「天候が良ければ早くて五日、遅ければ七日は掛かります」

「まだ時間はある。頼むぞ宮火」

「は!」




宮火の気配が消えたあと武則は立ち上がり己の刀を見つめた

「とうとうこの時が来てしまったのか・・・。儂は護ってみせる。この千紫を、桜美家を」