「某はこの国の姫は実は亡くなったのではなく今も現に生きていると考えている。そしてそれは何者から身を隠している様にも感じる。またこの時代の姫は戦争の道具でもある」

「圭吾様、ですがこの様な小さな国の姫君など、考え過ぎではありませんか?」

「分かって無いようだね隼人。では何故楠木殿がこの国を狙う理由を分かるかい?」

「・・・分かりません」
苦虫を噛み潰した様な状態の国東の横で五郎は身を前に出した

「あ、なら何か秘術とか持ってるって事か?西賀の様に」

「それはどうだろう。だが一つだけ確かなのはもしかしたら楠木殿は恐れているのではないかと思う
−−−−−−をね」

二人は背筋をゾクリと感じた
自分達の当主は勘と洞察力が鋭くまたその気になれば人の真偽を見極める事などたやすくない人物である事をだから今彼が話す内容は信じられない事であるが故にだ



さっきまでの顔とは一変してふわりといつもの微笑みをして
「さて我々もこの国を二日後の朝には出る事になる」

「始まるのですね。では家を出てく準備を明日一日で終わらせます」

「頼んだよ隼人。五郎は休んでなさい」

「あれ、てっきりまた文を出されるのかと思ってたけど違うんだ」

「楠木殿が直に攻めるらしいよ。西賀は手出し無用だとさ」

「ふーん、結局オイラ達は地理を教えただけという事ね」

「そうだな。だが某も戦に出ようと思う」

「「はあ?!」」
家臣二人は当主の言葉に驚きそのまま動けなかった

「手柄を起てようなど思ってない。だが心配なのだ・・・。良いな二人共」

「「は、了解しました」」

















二人が出て行き部屋にはまた圭吾一人になった








「力とは人を脅かす故に・・・」



この言葉は誰に対しての言葉かは誰も知らない