鶴水城のとある一室に数人ばかりの人だかりがいた


中央に武則、秋影
左には園部
右には二人

そこにいる内周りと服装が明らかに違う男が二人。計七人が深刻な顔をして話していた

中央にいる武則は眉を潜めて深刻な顔立ちで
「ふむ、浬張の楠木めがあの有名な所を攻め滅ぼしたのか。正かこれ程までに力があるとはの」

「はい。楠木は西領地周辺を大胆を己の領地にしています」
武則の前で片足膝に付き顔を伏せた状態で話している


「それで浅波、楠木はどうやって攻め滅ぼしたんだい?」
十年の歳月が経ち顔立ちも凛々しくなり少し長い髪を後ろに縛ってある姿は十年前とは比べない代わり映えである美羽の兄である秋影は目の前の浅波に問うた

「楠木は蟻地獄という戦法でございます。蟻地獄とは四方八方に兵を置き敵を突破不可能にさせる戦法です。己の陣地に入らせた楠木は敵を中央に兵を囲ませ逃さないかつ確実に自分の有利な方向へと導いたのです」

「だが蟻地獄とは簡単に出来る様な事ではないはず。それにあれ程有名であった敵側は何故楠木の兵に囲まれたのを気づかなかったんだろう。あそこならその戦法をなる前に気づくだろうに」


「恐らく私の予想では蟻地獄をする以前にその国の当主や家臣が何らかの方法で暗殺されたのではと思います。兵は指揮官が居なければ動けません。ましてや独自の判断で勝手に動く事など」

「まだまだその戦いには裏がありそうじゃ。浅波、今は暫し休むがよい。では宮火、ここら周辺、何か変わりは無いか?」
武則は浅波の隣にいる宮火に話し掛けた


「は、最近は何も変わりはありません。ですが強いて言うなら・・・この頃城下に西賀の商人が来たとかです。そして町の者達は珍しい西賀の商品を気に入ってる様です」


「ほうあの西賀からか。わざわざ遠くまで千紫に来てくれるなどありがたいな。ふむ、皆はもう下がってよい。御苦労だった」


皆がが居なくなった後部屋には武則が一人だけで残っていた



















「何かが引っ掛かる。それは何なんじゃろう」
ポツリと吐いた武則はその後一言も話さずにずっとその場にいた