ただ純粋に美しいと思った





もっと傍に行って声を聞きたかった





そしたらいつの間にか彼女に声を掛け





普段は人前では聴かせない笛を

自ら吹いていた








「某は数々の領地を行き来し旅している者。此処の桜花は某が出会った中で群を抜いた美しさである。某は緑儀(りょくぎ)。そなたの名、教えて下さらぬか?」
気づいたら某は目の前にいる女子(おなご)の事をもっと知りたくて話し掛けた



「私は由利と申します」



由利殿・・・・

彼女の素振りは何処かの領家の娘の様に感じてならない

だが身につけている物は綿



もっと彼女と話したく某はゆっくりと腰を降ろした

彼女も同じ様に腰を降ろした


彼女を例えるならこの桜花の様だ

美しく何処か儚げな・・・












由利殿との出会いは偶然、それとも必然なのか







某には分からない