迷姫−戦国時代





自身が泣いているのでさえ分からなかった

けどそれを知らせたのは紛れもなく、






「この部屋は何の部屋か分かるか」





光彦は美羽の目頭に溜まり零れ落ちた涙を拭いながら部屋の全体を眺める




「・・・・・・国の、いえ家系図等の書物?」





「大体はな」




光彦は美羽の腰を抱いたまま綺麗に陳列した書棚へと近寄れば一冊を捲ればパラパラと音を立てる




表紙を見れなかった美羽だがパラパラと捲れるそれはやはり何ヵ所にも名が書かれ枝分かれした家系図のようだった


だが美羽はあることに着目したのだった



「男児ばかり・・・」


不意に光彦の捲る手は止まり、視線は抱き止めている美羽へと注目する。だが肝心の美羽は書物を眺め光彦からは美羽の頭しか見えない。従ってお互いの表情はどんなものかは見えないのだった


「確かに俺の兄弟は男しかいない。寧ろ、楠木家は男が産まれるのは普通だ。だが稀に女が産まれてくることもある。恐らく気が付いた所も男の名前しか書いてないのだろ」



そうですか・・・。そう呟くように答えた美羽に対し光彦は今開いている書物を閉じようとすればまたも美羽は疑問が浮かぶ


「では、何故こんなにも枝分かれしてるにも関わらず何も書いてないところがあるのですか」


閉じる手を止めればそこに下記写されている所には確かに枝分かれしているが、その先に名が書いてない場所があるのだった

「ああそれは・・・死産だ。此処の書は全て文官が請け負っている故に故意は確か・・・」






シャランシャラン


突然部屋に小さく響いた鈴の音に美羽は光彦の方へ振り向いた。それに対し光彦は開いていた書を今度こそ閉じれば扉へと目を細めた


「誰か来るな。来い」


光彦は美羽を引き連れるように扉とは正反対の壁へと向かえば板で出来た壁を数ヶ所叩く。そしたら壁から僅かな隙間ができそこに手を入れれば手前に押すのだった



「一先ず此処に入っていろ」


隠し部屋と呼ばれるのかそこには人が一人入れそうな小さな空間があり光彦は美羽に入れと背中を押すのだった


「貴方は、」

「鈴は本来中に人がいると外から来た者に知らせる仕組みになっている。今あんたを見られると厄介だ。俺は別に此処にいても問題などないからな」




自身の為にも大人しくしとけ



そう言い残せば光彦は仕掛け扉を閉めるのだった




美羽の周りは真っ暗な暗闇に包まれていたのだった