あれから私は鶴水城を出て浅波と宮火との三人で山に住んでいます

始めは馴れなかったこの時代での炊事洗濯などは現代の頃と比べ、とても大変ですが今では難無くこなせる様になりました


ふふ、伊達に十年も普通の娘としてやってきたのですから




さて、此処に住んで私の年は十五。誕生日を迎えたら十六になります



そして私も漸く現代の頃の姿となりました

山での生活は不便もありましたがその反面、季節の変わりなどを毎年愛でる事が出来るので山での生活はとても楽しいです


さて、浅波と宮火はといいますと

浅波は三十代後半、いい年なのですが彼は「自分は忍だからいつ死ぬか分からないのに嫁なんて貰えませんよ。それに大切な使命がありますので」と娶らないのです。彼は今も鶴水城と此処を行き来し、今はあちらの任務で留守なので今は宮火と私でいます

宮火は兄様と同じ年で無造作の髪に鉢巻きを巻き細身な体なのに力が付いてて十年前から浅波に訓練をされ今では見違える位立派な忍になりました
宮火の瞳は今も暗いまま
時々瞳に変化はあるものの、やはり昔と変化はありませんでした
十年間一緒にいるのに変化がないのは少し寂しいです







とりあえず私達は楽しく過ごしています

障子の向こうから一人の男性が話し掛けた
「・・・由利」

「どうしたんです宮火?入りなさい」


私は身元をばれないために由利と名乗っています
この名前は兄様が考えてくれた名前でもあるのでこの名前を私は気にいってます

障子を開け入ってきた立派になった宮火にゆっくりと振り向いた
「町に用事があり少し出掛けて行きます」

「分かりました。気をつけて下さいね」

「直ぐに戻ります」
綺麗にお辞儀をした後宮火は目の前から姿を消していた


流石忍・・・・




宮火も居なくなり辺りが静けさとなる
部屋から出て廊下に座り込むと風に吹かれ桜の花びらが散る姿は誠に美しい

それにしても・・・・・


「暇です」
つい声に出てしまい美羽は深く溜息を付いた