鍵の掛けられた扉を前に何処か緊張感が漂う
だが、光彦は手をかけ鍵を差し込み難なく開けるのだった
そして扉を開けるのだが今いる部屋から見えるのは真っ黒な空間だけ
「何だ、入らないのか」
暗い部屋へと入る光彦に美羽は何処までも暗い空間に思わず息を飲むが、導かれるように足を踏み出したのだった
美羽が部屋の中へ入るのを確認した光彦は部屋の扉を閉めるのだった
刹那
「!」
部屋が明るい光に照らされ思わず眉を潜めたのだった
光の正体は部屋全体に置かれた蝋である。だがどうやって火を点けたのか、その仕組みは分からないのだった
そして次には部屋全体に敷き詰められた棚に目を奪われるのだった
棚だけではない。その数だけ巻物や本があるのだ
ざっと見ただけでも真新しい物や中には随分古い物が置かれている。光彦は手前に置かれた物など目にもくれず、部屋の入口から離れ奥へと入っていくのだった
此処は、無人だが何十にも遠隔、惑わしのされた書物室。見ただけでもとても重大な部屋なのだと直ぐ様分かった。けれど何故彼が私を此処へ連れてきたのか分からなかった
彼はある棚の前へと止まれば右手の指先で何かを探すように動かす
そして見つけたように右手には二冊の本を持っていた
直ぐ近くの机へと向かいそのうちの一冊を広げたのだった
何度も何度も紙の捲る音だけが静かな部屋へと響くのだった
美羽も気になり光彦の近へと寄るのだがそこには何本にも枝分かれした、家系図のようなのが書いてあるのみ
「これには無いか」
独り言のように呟いた彼は一冊を閉じ、もう片方の本へと手を伸ばす
その本も先程と同じように捲って、ある場所へと止めたのだった
「・・・秋穂(あきほ)、聞いたことがあるか?」
「いいえ、聞いたことがありません」
聞き覚えのない名前に美羽が首を降れば、光彦はならばと再び捲れば、見つけたようにある一点を指したのだった
「これは、見たことないか?」
それを見た美羽は思わず息を飲む
そこには紛れもなく兄から預かったはずの短刀の絵が書かれていたのだった

