戦利品・・・・
それは戦により手に入れるモノ
否、奪ったモノという方が正しいだろう
領土や武器、品、宝石等
もちろん人だって例外ではない
勝利した者は莫大な富、名誉等様々な物を手にする
だが負けた国はどうなるのか・・・
領土は勿論奪われるだろう、財だってそうだ。下手をすれば一族抹殺だって有り得る
惨めな生き方を辿る者だっている
どちらにしても不利な事しかないのだ
そして浬張との戦で千紫は負け浬張は勝利した
今の美羽には地位も身分も自由さえも無かった。それはあの男に捕まった時点で決まっていた事だった
あの時私も死んでいたらこんなことには無かっただろう。生きる事の代償として受けるのが惨めしかないのにだ
何故兄上はこんな酷い事を知りながらも私に生きろと言われたのか・・・今はただただ聞きたい
「あんたは死んでいった者達の代わりに生き残る為の覚悟が足らなかったみたいだな。所詮は子供だな」
光彦の的を得ている言葉に美羽はハッとした
それが恥ずかしくて、何よりも悔しかった
畳みの上に置かれた手はこれでもかというほどに強く握りしめ、それは振るえていた
「俺は何れにしても遅かれ早かれあんたを抱くだろう」
カサリ、着物が畳みに擦れる音が聞こえれば、彼が直ぐ近くに来ていたのだった
光彦は髪により隠れた顔を己に向くように上げれば、そこには哀しみや戸惑い、憎しみ等が入れ混じった感情を見ればうっすらと目を細めた
「俺は迷わない。覚悟を決めろ」
今日はこれだけにしといてやる
そう小さく呟けば次には先程とは打って変わり優しい長い長いキスをしたのだった

