「あんたは一つ、見落としていることがある。
それは俺とあんたは男と女だという力の差だ」
逃げれないぞ
そのまま光彦は目を閉じ顔を近付けていく。咄嗟の事に逃げようと反抗するが彼が許すはずはなかった
次には己の唇に暖かい感触が触れた
今、私はこの人とキスをしている・・・
光彦にキスされた瞬間、身体中から熱が出そうなほどに暑くなった。身体が光彦の手により固定され、押しても引いてもびくともしない力に美羽は戸惑うばかりだった
そして肝心の光彦は何度も何度も唇の確度を変え、キスを堪能していたのだ
急に横へ寝転ぶ姿に変わった事により唇が離れたと思い、何故こんなことをしたのだと言うように怒りを込めて光彦を睨み付けたのだった
赤と朱がまじさった
だが、それがいけなかったのだ
今の美羽の姿は頬を赤らめ、呼吸を調えるために肩を揺らしていた。歳は十五歳・・・直に十六へと代わる娘が女へと代わる瞬間の表情は、どれ程の男を魅了するのかは計り知れない効力だ
「止めてください・・・!」
押さえつけていた光彦の手が美羽の着物の中へと移動していくのを美羽はすかさず叫んだのだった
美羽の悲願に光彦はピクリと手を止めたのだった。そして真っ直ぐに美羽を見つめてきたのだった
「嫌か?」
その返事は先程とは打って変わり美羽の瞳からは溢れ出そうな涙によって固定と読んだのだった
光彦は手を引っ込めれば美羽は離れるように数歩下がり、少し乱れた衿を右手で強く握りながら顔を背けた。光彦は髪により顔の表情が見えなかった

