ーーーー仇討ち
鈴の言葉を耳にした宮火は腕を組む
「仇討ちか。だが、それでは犯人の見当がつかないこともあるだろう」
「私も詳しくは知らん。だが現に多くの国が浬張により滅んでいるだろう。それと何らかの関わりがあるんじゃないかと私は考えている」
飽くまでも私の考えだ。気を付けろよ、と吐き捨てるように告げた鈴は宮火から顔を背けたのだった
仇討ち・・・。俺が見た中で特に強かったのは楠木だった。本来千紫から浬張までかなり距離がある。この事によってこれは当主である楠木本人の感情により行われた確率は大だ。もしやこれは誰かに仕組まれたことなのか・・・
あまりにも情報が少ないことに宮火は頭を悩ますのだった。本来千紫と浬張は全くといっても関係など無かった。はたまた俺が知らないだけなのか
それに政については朝波の方が詳しい。次の村で落ち合う予定になっている。その時に聞いてみよう
結論を決めた宮火に対しそっぽを向いていた鈴は宮火をチラリと見たのだった。そして宮火に気づかれずにポツリと呟いたのだった
「血は水よりも濃いと聞く。だが、それならば全てが矛盾になっている・・・」
静かな夜に声を被せるように薪が割れる音がしたのだった

