迷姫−戦国時代











光彦のいる部屋に戻れば、美羽は少し離れた場所に腰をおろした





「着替えをありがとうございます」

「構わない。それと、



暫くの間は俺の部屋の近くにあんたを置くことにする」



美羽は少し考えたが直ぐに同意したのだった




「さてと、俺に聞きたいことがあるのだろ」




そうだ、先程は相手が部屋から出てってしまい聞けずじまいだったのだが今は違う。相手は私に、きちんと聞く場をもうけてくれたのだ

意気込みと共に自然と背筋を真っ直ぐに伸ばすのだった。しかし身体の反応とは裏腹に顔の表情は何処か強張っていた




彼に聞きたいことは沢山あった
でもそれよりも先に一番聞きたかったのは他にあったのだ。それはあの時敵を殺す際に発した彼の言葉・・・


「浬張の性(さが)とは、何なのですか?」










一瞬にして辺りが静かになった。それでも美羽は光彦の行動をずっと待っていた







「・・・まずあんたには性について説明しなければいけないようだな」






そこで一息吐くと、光彦は続けた


「性とは各国独自の生まれもった宿命だ。国によって武術を強いたげたり歌学や習わしなど様々だ。その中でも特に国独自の信念を貫く国だってある。これは無意識に起こり、絶対になるのだ。どうやらそれは国の神によるものらしい」




性・・・それなら枇杷の国では緑凪様は枇杷を弾かれる方。だから歌学が性だったのかしら。違いを見分けるのは難しいわ






「そして・・・・我が国(浬張)では”仇討ち”だ」