迷姫−戦国時代

彼は部屋へ足を一歩踏み入れば部屋に漂う異様な雰囲気に僅かだが眉をひそめたが、次には気にもせず私の前へと立ち止まった



「その姿では気分が悪いだろ。着替えだ」


そう言い私の前に衣服を押し付ければ、隣の部屋で着替えてこいと言葉を残し私の反対側の襖を開いた




「・・・話があるなら後にしろ」

背を向けながら襖を閉め部屋に残された私は、言われたとおりに彼が入った反対側の襖に手をかけ部屋の中へと入った










部屋に入り帯をほどけば、小袖を脱ぐ。部屋は異様に静かで布の擦れる音だけが聞こえ、仮にも異性の男性だ。年頃のせいでもあるが彼に聞こえてないか羞恥であった




新たに用意された小袖に腕を通し帯を締めれば脱いだ衣服を整える為に屈めば、漸くある事に気がついたのだった





「血・・・」




紛れもなく襲ってきた男の返り血だった




正直気づかなかった

気が動転していたのもあるけど






彼のした行動が衝撃的だったから






私にも付いたなら当然彼の衣服にも付いてるだろう

私にも着替えを渡すなら恐らく反対側の部屋に入ったのは着替えのためなのかもしれない





着替え終われば先程の部屋に戻る。案の定相手も着替えを済ませ腰を下ろしていた