「・・・消える・・・ですか。それは自害でございますか」


父様の言葉に背中に嫌な感覚を感じながら恐る恐る吐いた



「否、自害などではない。美羽は此、鶴水城から誰にも気づかれずに消息を絶つのじゃ。これは儂等が考えた中、唯一そなたを守れるためなのじゃ、分かってくれぬか」

私のため・・・
皆さんは私を守るために


何故?


何故私は皆さんに守られるの?

私が一体どうしたの・・・?

「私は、何故・・・この様な状況になったのでございますか・・・知りとうございます」
膝の上にある手を震えながらも必死に涙を止めていた

「美羽・・・それは「秋影、主が話さなくてもよい、儂が話す」

「美羽、そなたは・・・」

間を置き
「そなたの宿命は戦国乱戦の中に巻き込まれ、その中を生きていかなければいけない宿命なのじゃ。これは逃れられん。下手したらそなたは命を失ってしまうかもしれんのじゃ。だが儂等は考えたのじゃ。戦に巻き込まれるのは身分でも有る故、じゃがその身分を隠してしまえばどうじゃ、すくなくとも変わるかもしれんのじゃ」

あぁ、神の使いさんが言っていた通りなのね

皆さんは私のために



それに私は・・・

「・・・ありがとうございます」

一旦息を吐き

「して、身を隠すとはどの様な事でございましょうか」


「美羽、誠に良いのじゃな?」

「はい。私は皆に守ってもらう身でございます、それに私のせいで此処にいる大切な方々を戦に巻き込みたくなどありません。これは美羽として、桜美 美羽、姫としての覚悟でございます」

「では、そなたに護衛を付ける。参れ」
静寂の中、凛とした声で呼び掛けた当主、武則は我が娘に微笑んだ

音を立てる事なく見慣れた二人組が目の前に現れた

「この者達がそなたを護衛する者達じゃ」

「美羽様をお守りする浅波でございます」
「同じく園部 宮火です」


「まさか二人だったとは、よろしくね」
まさかの二人に内心驚きながらも美羽は二人に微笑んだ