浬張より大分離れた月夜の中、森林の中二つの人影を写し出した
「今日は此処で寝るとしよう」
青年もとい宮火は立ち止まり馬の手綱を近くの木に掛けると隣にいる藍も頷き二人は野宿の準備を取り掛かる
宮火は品を整理している間に藍は米と味噌、茸等を入れた雑炊を手早く作り上げた
二人で焚き火を囲み雑炊を食べるのは異様な光景だが、不意に藍が宮火へと視線を向ける
「お前は、浬張の者に会ったことがあるのか?」
宮火はあると固定するや否や藍は鋭い目付きへと変わった
「その中で特に髪や瞳が真紅の者を斬ったことは?」
宮火は戦の時を思い出すように暫く黙ったが「分からない」と答えた
宮火が戦で斬った人数は膨大な数で武士や忍等、様々だった。そして何よりも生死を懸けた戦いであって敵のあれこれ等、確認出来る暇など無いのだ
「その様子だと知らない様だな」
藍は無表情で見つめる宮火に、一端視線を反らし器に入った水を一口飲もうとして水面に映った月へと自然と見つめた
僅かな動きでも水面は揺れ、月の形をあやふやにする姿は何処か寂しさを感じてしまう。そんな事を思いながら藍は漸く宮火へと向けたのだ
「私も聞いた話なのだが、浬張では真紅色に近ければ近いほど血の結束が強いのだ」
「血の結束とは、それほど重大なものなのか」
「ええ。結束が強ければ強いほど絶つ事が不可能なのだ」
「つまり・・・俺が真紅色の者を斬ったとして、その血縁者が何かするのか?」
菖蒲色の瞳が夜の光を吸収し何処までも色濃く憂いを帯びていた
「仇討ちだ」
「今日は此処で寝るとしよう」
青年もとい宮火は立ち止まり馬の手綱を近くの木に掛けると隣にいる藍も頷き二人は野宿の準備を取り掛かる
宮火は品を整理している間に藍は米と味噌、茸等を入れた雑炊を手早く作り上げた
二人で焚き火を囲み雑炊を食べるのは異様な光景だが、不意に藍が宮火へと視線を向ける
「お前は、浬張の者に会ったことがあるのか?」
宮火はあると固定するや否や藍は鋭い目付きへと変わった
「その中で特に髪や瞳が真紅の者を斬ったことは?」
宮火は戦の時を思い出すように暫く黙ったが「分からない」と答えた
宮火が戦で斬った人数は膨大な数で武士や忍等、様々だった。そして何よりも生死を懸けた戦いであって敵のあれこれ等、確認出来る暇など無いのだ
「その様子だと知らない様だな」
藍は無表情で見つめる宮火に、一端視線を反らし器に入った水を一口飲もうとして水面に映った月へと自然と見つめた
僅かな動きでも水面は揺れ、月の形をあやふやにする姿は何処か寂しさを感じてしまう。そんな事を思いながら藍は漸く宮火へと向けたのだ
「私も聞いた話なのだが、浬張では真紅色に近ければ近いほど血の結束が強いのだ」
「血の結束とは、それほど重大なものなのか」
「ええ。結束が強ければ強いほど絶つ事が不可能なのだ」
「つまり・・・俺が真紅色の者を斬ったとして、その血縁者が何かするのか?」
菖蒲色の瞳が夜の光を吸収し何処までも色濃く憂いを帯びていた
「仇討ちだ」

