「夕餉・・・」
美羽は読んでいた本を閉じ障子の前にいるまつへと顔を向けた
「何故私がそのような所に行かなければならないの?主旨が分からないわ」
捲し立てるように話す美羽に対してまつは頑なにそれを否定したのであった。今の美羽の姿は髪を下ろしたまま百合の形をした簪を付け首には薄い絹が巻かれていた
「ですがこれは重綱様が申されました事でして・・・。美羽様がお越しにならなければ夕餉が始まりません。それに貴女様は立場をお考え下さい」
「・・・分かったわ。今行いきます」
立ち上がった美羽と同時にまつは障子を空け美羽の前へと歩きだした
長く続く回廊を歩くなか、徐々に部屋へと近付くにつれ重い空気が漂ってくるのが分かった
しかしその斜め前を歩くまつは、重い空気に気付いていないのか前へ前へと進んでいくのであった
そして歩みは止まり、まつは襖へと向かい低く正座をし頭を下げたのであった
「失礼します重綱様。姫様をお連れ致しました」
「入れ」
襖越しに重い声が聞こえてきた。美羽は一旦息を深く吐けば様子を伺うまつへと向けた
「開けてちょうだい」
襖が開かれ美羽は正座をし、丁寧に頭を下げ、部屋の中へと足を踏み入れた
部屋は大層広く、また飾られている品はどれも値が張るものばかりだ。そんな中に膳が三つ置かれ男が座っている。恐らく残りの一つは美羽の膳だろう
美羽はそのまま膳の所へ来て座れば二人の男を見た
中央にいるのがこの国の主である男で、美羽と向かい合って座っているのが先程会ったばかりのあの青年だった
美羽は読んでいた本を閉じ障子の前にいるまつへと顔を向けた
「何故私がそのような所に行かなければならないの?主旨が分からないわ」
捲し立てるように話す美羽に対してまつは頑なにそれを否定したのであった。今の美羽の姿は髪を下ろしたまま百合の形をした簪を付け首には薄い絹が巻かれていた
「ですがこれは重綱様が申されました事でして・・・。美羽様がお越しにならなければ夕餉が始まりません。それに貴女様は立場をお考え下さい」
「・・・分かったわ。今行いきます」
立ち上がった美羽と同時にまつは障子を空け美羽の前へと歩きだした
長く続く回廊を歩くなか、徐々に部屋へと近付くにつれ重い空気が漂ってくるのが分かった
しかしその斜め前を歩くまつは、重い空気に気付いていないのか前へ前へと進んでいくのであった
そして歩みは止まり、まつは襖へと向かい低く正座をし頭を下げたのであった
「失礼します重綱様。姫様をお連れ致しました」
「入れ」
襖越しに重い声が聞こえてきた。美羽は一旦息を深く吐けば様子を伺うまつへと向けた
「開けてちょうだい」
襖が開かれ美羽は正座をし、丁寧に頭を下げ、部屋の中へと足を踏み入れた
部屋は大層広く、また飾られている品はどれも値が張るものばかりだ。そんな中に膳が三つ置かれ男が座っている。恐らく残りの一つは美羽の膳だろう
美羽はそのまま膳の所へ来て座れば二人の男を見た
中央にいるのがこの国の主である男で、美羽と向かい合って座っているのが先程会ったばかりのあの青年だった

