舞歌の言葉に、この部屋の空気が氷ついたようだった
だが当の舞歌はクスクスと笑い髪を耳へと掛ける仕草をする
「って言いたいのですけど、生憎にも規約でこの娘は殺せないのですわ」
「規約とは・・・、!もしやその娘は」
「不便な娘ですわね。この娘の兄の様に彼方側なら良かったのに、此方側まであるのでは手が出せないのですわ」
あからさまな表情をする舞歌に白呉は眉間に皺をよせた。後ろにいた男も同様な表情であった
「なあ舞歌殿よ。貴女も勘づいているだろう。止まった時間が・・・流れ始めたのをな」
舞歌は目を細め人差し指を口元にあてがうと、それは声に出さずに発せられた
そ れ を 阻 止 す る 為 に 私 が 参 っ た の よ
衝撃的な発言に二人は目を見開いたのであった
白呉は顔をしかめ、男の方は何か思い当たる表情であった
急に部屋の雰囲気が一変した。気付いたら美羽はまた床に伏せており、舞歌の気配は何処にも無かったのであった
「うぬ、白呉様。舞歌様は何を考えておるのだ」
「何れ、全てを知る時が来るかもしれんな」
そう言い残した白呉は目の前から姿を消したのであった
巡るましい急な転回に正直男は混乱していた。取り合えず状況を整理するために、再び眠りについている美羽を起こし始めたのであった

