男は茶を飲みながら時折美羽の容態を気にしていた


肝心の滝沢は、男の命令によって薬草を取りに行っている




「この娘の気・・・見に覚えがある。うぬ、それよりも何故浬張がこの娘を狙うのかが分からぬ」

男は仮に美羽が目覚めても逃がさぬ様に見張っててもらう代わりに、滝沢には薬草を探してくるように頼んだのだった



「ん・・・」


起きたのかと思いちらりと見るが、魘されているようだ




それにしてもこの魘されて様は異様だ。まるで何者かに取り憑かれいるような




「これ、しっかりするのじゃ」

男は美羽へと近付き、声を掛けるが、それでも起きない美羽に今度は肩を揺らそうとした








刹那




美羽は目を見開き徐に起き上がった


「うぬ、起きたか。何処か異常はないか?」


男に声を掛けられた美羽は男を見るや否や、目をうっすらと細めた


「あら、白呉(はくご)殿ではないですの。”この場”での再会は久しゅうですわね」



口元に手を当てて妖艶に微笑む美羽は全身から覇気と共に異様な雰囲気を身に纏う姿に男は先程の驚愕な言葉も合わさり、思わずたじろいだ




「そなたは・・・何者だ」

「ウフフ、鈍いのね御宅の者は」



警戒しながら後方に下がった小生の後ろから不意に前へと現れた


「これはこれは何方かと思えば舞歌(まいか)殿ではないか」


長い黒髪を上に結い、白と黒を強調した着物を纏った男が見知った人物だった


「白呉様」

白呉は男へと振り向き此処は私に任せろと男の脳内に語った



「舞歌殿は何故此方に?」

「この国の次期当主に会ってみようと思っただけですわ。何故そんな事を聞くのかしら可笑しな人ね」




クスクスと笑う美羽に乗り移った舞歌に白呉は首を横に振った

「ナンセンスだ。貴女は変わったな。して、その娘をどうするんだ?」








「ウフフ、相変わらず白呉殿は変わった異国の言葉を使うのね」









「この娘は・・・・・・・・





殺すわ」