迷姫−戦国時代



山道を暫く歩く私と狛津さん

時折歩く速度を私に合わせるなど、優しい気配りをしてくれる狛津さんの姿に自然と口元が緩んでいる事に気づき着物で口元を隠しながら狛津さんの後に続いて進んでいく








そして漸くついた麓に狛津さんは持っていた水筒を差し出してくれました



水筒を受け取り地面に腰を掛け麓から見える枇杷の国の眺めてる

視界全体に広がる小豆色に思わず目を見開く

まるで始めて此国に訪れた時と同じ錯覚が生まれたような美しさでした



狛津さんが私を此場所に連れて来てくれたのは今回が初の事。ですからとても嬉しく何時までも此光景を目に焼き付けておきたいと思いました





―――不意に横から琵琶の音色がして音の方へ向くと狛津さんが撥(ばち)を握りしめ短調の曲と思われるのを奏でていました

何時聴いても狛津さんの音は他の方々とは違った音が出ています

一つ一つが独自に響くのに関わらずそれを全て美しくまとめる狛津さんの技




演奏途中で止み狛津さんが琵琶からこちらへと顔を向け目が合ってた



「あんたも弾いてみればいい」


そう言い手元の琵琶を私に渡す狛津さんに慌てて受け取る




いきなりの展開に驚きながらも私は撥を弦で弾く








――――♪、










私が弾いているのは余り耳にする事がないと言われている曲「茨木」