迷姫−戦国時代

狛津さんの弟子となりあれから半月程経ち私はいつも通り家事をこなしていました


最後に着物を物干し竿に通し、洗濯物を干し終え次の作業に取り掛かる為に家の中に入ろうとしたら遠くから足音が聞こえそちらの方へと視線を向けた



「洗濯お疲れさん」


足音は狛津さんのでした

彼の背中には琵琶が括り付けてあり今から出掛けるのだろうと予想が付く


「その様子だと、何処かに出掛けるのですか?」


「ああ、いつもの場所に向かうつもりだ」

いつもの場所とは、狛津さんが昔から気分転換に向かうという近場の山の麓のことです

この半月程で彼がよくそこに行くのを分かっている私は行ってらっしゃいませと言えば次にとんでもない事を口にしました



「何言ってるんだ。一緒に行くに決まってるだろ」



突然の発言に困惑しがちな私に狛津さんは、おいてくぞと言いさっさと玄関に向かって行くのを私は慌てて後を追うのでした