迷姫−戦国時代

あの後、彼の家に案内されて驚いたのはまず始めに家の立派さでした

こんな広い家に一人なんて狛津さんは凄い人なのねと思ったら横から

「この家は師匠方が用意してくれたんだ。まあかなり広すぎるがな」


口調はうんざりとした様子でしたけど狛津さんの顔は口元が緩んで凄く嬉しそうな顔でした

その表情と共に、鈍色の髪が動作により揺れる姿にほんのりと見とれてしまいました








「何も無いが好きに使ってくれればいい」

狛津さんに案内された部屋は彼の言った通り家具も何も置いてなく殺風景でした



「一日だけこの布団を使ってくれ。明日からは替えを用意するから」


そう告げると狛津さんは部屋から去っていくのを確認した後私は持って着た大きな風呂敷を解いた










荷物の大半を整理した後に私は夕餉の準備に台所に向かいました



宿屋と稽古、それに食事まで出すと言われた狛津さんの言葉に私は首を縦に振らず家事全般を任せてもらうとの条件を付けて此処に着た私は早速作業に取り掛かりました





少し経てば聞こえてくる琵琶の音色に耳を傾けるとその中に数時間前に聞いた彼の奏でる美しい琵琶の音







少しの間でも彼の弾く琵琶と共に過ごせる事に私は胸を弾ませるのでした