迷姫−戦国時代

美羽はその言葉に目を見開く。狛津はというと口は動かしながらも手先は止まることなく作業を黙々と続けていた



確かに柄を手掛けているのは美羽であり残りは全て二人に任せているのだ。それに教えたのは私達が造ってるだけで誰が何を手掛けているかなどは教えてない。しかし何故分かったのだろう



「確かにそうですけど何故そうだと?」

「それはあれだ−−−勘が六割で残りは今の状況だ」

今の状況とは美羽が狛津作業に興味津々である事だ


「成る程・・・」


感心していると狛津は急に立ち上がり何かを呟くと部屋の中央にある神棚に手を掛ける


中から取り出したのは工具の一つでとある物を取り出して手に持っている竹とんぼに何やら施している様だ

「完成っと」
満足した表情で竹とんぼを机に置き一旦部屋から出ていった


気になり机を見て見ると先程は何も書いてなかった竹とんぼに「狛」と手掛けてある



出ていったと思ったが狛津は手を拭きながら戻ってきたのでどうやら手を洗ってきたようだ



「俺は寝る。あんたももう寝な」


「そのつもりです。見学出来て楽しかったです、ありがとうございます。お休みなさい」



そう告げると部屋から出る時に後ろから「おう」と返され美羽は寝間に向かったのであった
















「(何も収穫なしか・・・)」
二人の会話を隣の部屋から聞いていた浅波も誰にも気づかれずにこっそりと部屋へと戻ったのであった